会話のみのものや短いものを置いておく場所です。
CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
白い鳩は首を傾げながら言った。
『貴方は何が欲しいですか?』
何が?…俺には今欲しいものなんてない。
『なんでも差し上げますよ、難解な謎、スリルのある事件、貴方の望むものならなんでも』
…………。
『貴方が望むのならば、ヒトも殺してあげますよ』
…!それは、いらない。
『何故ですか?私がヒトを殺して、貴方がその謎を解くのです。私が考えたトリックは貴方でなければ解くことができない』
違う。俺はそんなもの望んでなんかいない。
『…では、貴方には何もいらない、と?』
初めからそう言ってるだろう。
『……困りましたね』
何が?
『では、貴方が私の望みを叶えてくれますか?』
……何が、望みなんだ?
『私の望みは……………―――』
『 』
「………んいち」
遠くの方で声が聞こえた。
「…新一?」
薄っすらと目を開けると、見覚えのある顔が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「……と?」
「やっと起きたね。全然目を覚まさないから心配しちゃったよ」
「ん…悪い」
ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡した。ソファーの上で眠っていたらしい。窓の外は既に真っ暗だ。
「今、何時?」
「7時ちょっと過ぎ。夕飯食べる?」
ぼんやりと窓の外を眺めて、不意にさっきみた夢の事を思い出した。
「新一?」
「…変な夢を見たんだ」
「どんな?」
軽く首を傾げる快斗が夢に見た白い鳩と被った。
「白い、鳩が聞くんだ。欲しいものはないのか、って」
「それで、新一はなんて答えたの?」
「何もいらない、って。それで、鳩は…じゃあ自分の望みを俺が叶えてくれって」
「望み?」
「なんだったか忘れたけどな」
急にこんな夢の話を快斗にしたのが馬鹿馬鹿しく感じられた。
所詮は夢なんだ。
「なぁ、今日の夕飯何?」
「……」
「快斗?」
何も言わない快斗を不思議に思って振り返ると、ニッコリと笑った快斗が立っていた。
ただ、笑っているだけなのに…何故か背筋に冷たいものが走った。
「…かい…」
「その鳩はさ、こう言いたかったんじゃないかな?」
ゆっくりと快斗が近寄ってくる。
俺の足はまるで金縛りにあったかのように動かない。
鼻先が触れる距離になって、快斗が口を開いた。
「……貴方のすべてが欲しい」
聞きなれている筈の快斗の声はまるで悪魔の囁きのように低く、甘美なものに聞こえた。
「私の望み、叶えてくれますか?」
***
昨日の夜、夢で冒頭部分をみて、朝携帯にメモろう、としたら打ってる最中に携帯がフリーズ。年代物なんでいつかは来るだろう、とは思ってたけどタイミング悪ッ!と思いつつも電池パックを抜いてみたら直りました。
それにしても、夢が元だからよくわからないものに…;
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