”好き”だとか”愛してる”とかなんて、陳腐でくだらないものだと思っていた。
だって、そこには「真実」があるかどうかなんて、名探偵ですら分からないハズだから…。
「つまり、俺は今まで誰も”愛した”事なんてない、ってことだな」
笑みを浮かべてそっと彼の頬に触れた。
「あぁ、もちろん。新一だけは別だよ?俺が唯一”愛した”人なんだからさ」
そういって額にかかる髪を指で梳いて唇を落とした。
「何が、”愛してる”だ」
憎々し気に睨みつける瞳ですら愛おしい。
苛烈な瞳の中に映る自分の姿を見つけて、恍惚とした。
でも…
「できれば、新一にも俺を”愛して”欲しいんだけど?」
「ふざけんな」
にべもない応えに思わず苦笑が漏れる。が、素直にされても面白くはない。
「いいけどね、別に。いつか堕ちてくるのを待つだけだから」
いつまでも、いつまでも、ずっと彼がここまで堕ちてくるのを…。
「その前に俺が逃げたらどうするんだよ?」
「ダメだよ、新一」
頬に触れていた手に少し力を入れる。
軽く爪を立てたのを感じたのか、僅かに眉が寄る。
「逃げようとしたら、俺、何するかわからないよ」
甘く、どろどろに溶かして逃げられないようにして、
逃げたらどこであろうと必ず捕まえて、二度と逃げようという気を起こさせない。
絶対に、放さない。
どこにも、逃がしてなんてやらない。
「ね、愛してるよ…新一」
だから、俺のモノになって。
***
掘り出し物です…。
ちょこっとだけ修正してup