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会話のみのものや短いものを置いておく場所です。 CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
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負の感情を押し込めてポーカーフェイスを取り繕う。

あぁ、本当に…イライラする。アイツがいるだけで俺の心の中がどす黒く変わり、あっという間に負の感情に捕らわれる。

…嫌いだ。アイツが。

恐らく誰にも向けたことのない程の感情。「嫌い」という言葉では言いきれないぐらいに…。

いっそ「憎悪」と言った方がいいのかもしれない。

 

それでも、俺は無理やりにでも笑顔を取り繕う。

誰にも俺の感情を悟らせない為に……。

 

 

 

なのに。

 

 

 

「お前、俺の事嫌いだろ?」

突然言われた言葉に俺は思わず目を瞠った。

「は?」

「や、だからさ…俺の事、嫌いだろ?」

目の前に座る男…黒羽快斗はなんて事のないようにへらりと笑って言った。

「俺が気づかないとでも思った?工藤」

にっこりと、それでもどこか冷たい瞳に俺の姿を見つけて思わず眉間に皺がよった。

 

 

 

俺がこいつ…黒羽と知り合ったのは大学に入学してすぐの事だった。

同じ大学、同じ学部、学科…ついでに顔なんか似ていれば互いに顔を合わせる機会なんていつでもあった。

『俺、黒羽快斗ってんだ。よろしくな』

誰もが好印象を持ちそうな笑顔と共に差し出された手。マジックをやるからだろうか、男にしては綺麗だと思った。その手を握り返しながら俺も笑顔を見せた。

(…こいつ、苦手かも)

そんなことを考えているのを悟られないように。

 

きっかけは何だったのか記憶にない。ただ、気づいたら「苦手」から「嫌い」に変わっていた。

その感情に気付いた時、俺は驚いた。今まで「苦手」とする人物はいたが「嫌い」とまでいく人がいなかったからだ。

 

自分の中の感情に気付いても恐らく周りには誰にも気づかれなかった筈だ。

あくまで黒羽を「友人」として接してきたから。避けたりもしない。顔にも出さない。それなのに…。

 

 

 

「…なんで気づいたんだよ」

今更ポーカーフェイスを取り繕っても仕方がない。小さく溜息を吐いて黒羽を睨んだ。

黒羽はそんな俺の態度に気分を害した様子もなく、ただ肩を竦めてクスッと笑った。

「そりゃ、完璧だったぜ?工藤の演技は。でも、一つだけ欠点があったんだよ」

「………」

「完璧すぎるんだよ、お前」

完璧な笑顔に「友人」として完璧な態度。他人から見たら自然なことなのかもしれないけど、俺にとっては「不自然」にしか見えなかったんだよ。

クスクスと楽しげに笑う黒羽。まるで親友に当たり前の事を教えているような感じだ。…親友になんてなりたくもないけど。

「同族嫌悪ってヤツかな。ま、お前が俺を嫌いな理由なんて他にもありそうだけど」

「理由なんて知らねぇよ。そもそも、理由なんてあってないようなものなんだろ」

「ふぅん?犯罪には動機が必要なんじゃねぇの?名探偵」

「俺がお前を嫌いなのは別に犯罪じゃねぇだろ」

ふっと鼻で笑うと黒羽は拗ねたようにそっぽ向いた。

「別に俺はお前の事嫌いじゃないのにな」

「へぇ?」

意外かもしれない。俺の感情にも気づいていて、恐らくそれがどれ程のものなのかも。それでも「嫌いじゃない」?

「むしろ好きだぜ?新一」

「気持ち悪い」

「うわ!ひでぇ…」

本気で傷ついたように落ち込む黒羽に若干の罪悪感がないわけでもない。でも、やはり自分の中ではこいつの事が嫌いという感情の方が強い。

「んじゃ、酷いついでにもうお前とは関わらないよ。つか、関わりたくねぇ」

「いきなり正直になりやがって…でも、その案は却下な」

「なんでだよ」

不機嫌さを隠さず俺は黒羽をきつく睨みつけた。その視線すら黒羽はあっさりとかわしてみせた。本当、ムカつく奴。

「俺はお前が俺を嫌いでも全然構わないぜ」

「……お前マゾ?」

「まさか。どっちかってーとSだと思うぜ?俺を嫌いだとか言う工藤を苛めて泣かせてみたいし」

「…やっぱお前嫌いだ」

なんとなく、本能で今の言葉は冗談ではないような気がして思いっきりひいた。あーもう、なんでもいいから早くここから抜け出したい。黒羽が視界に入らないところへ行きたい。

「工藤って『苦手』なヤツはいても『嫌い』なヤツは少ない…ってか俺だけだろ?」

「………」

図星だ。

「それってよーするに、俺だけに他の誰にも持ってない特別な感情持ってるってことだよな」

「……はぁ?」

「そりゃ、好いてくれた方が嬉しいけど、俺としては『工藤の特別』って方が魅力的に見えるんでね。だからお前が嫌だっつっても付き纏わせてもらうぜ?新一」

開いた口が塞がらない。というのはこういう状況を言うのだろうか。不敵な笑みと共に言われた言葉を反芻して、理解して、俺はガタっと席を立った。

「お前なんか…お前なんか…大っ嫌いだッ!」

思い付く限りの罵詈雑言を浴びせ、踵を返して足早にその場を立ち去った。

 

「ほんと、からかい甲斐あるよなー…でもやっぱり、作り物の態度より、あっちの方がずっといいな」

これからが楽しみだ。

残された黒羽がそう楽し気に笑っていることなんて知らないまま、俺は自分の感情を再び再確認した。

 

――やっぱり俺はあいつが嫌いだ。

 

 

 

 

***

久し振りに書いてこれはどうよ。と思わなくもないけど…。

快斗をもの凄く嫌ってる新一クンが書きたかったのです。そしたら気づけば快斗がSキャラに…。

でも書いてるこっちとしては楽しかったです。…って快新サイトとしてこれはNGだったりします?

 

 

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