会話のみのものや短いものを置いておく場所です。
CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
曇天の空からしとしとと穏やかに雨が降り注ぐ。
強くはないが、やむことのないであろうそれを恨めしげに見つめていた。
「…新一」
窓辺に座り込み、険しい顔をしながら空を睨みつける姿に、快斗は愛おしさを感じていた。
気配を隠さず背後に周り、そっとその体を抱きしめた。
ぴくりと身じろぎするのを感じたが、それ以上の動きはない。
「いいんだよ、俺は」
「…でも」
幼子を諭すような声に、新一は納得がいかないと振り返った。
「俺は新一がいればいいんだよ」
それだけで十分だ。
そう笑うと、新一は困ったような安心したような顔をした。
6月21日。
今日は快斗の誕生日だった。
この日の為に新一は珍しく警察の要請を事前に断り、二人で出かけられるようにと準備をしていた。
しかし、ここ数日降り止まない雨の所為で交通機関は麻痺し、とても出かけられる状態ではなくなったのだ。
もちろん、折角新一が計画してくれたデートが潰されてしまうのは残念だ。
新一だけでなく、快斗もこの日を楽しみにしていたのだから。
それでも。
「誕生日に新一と一緒にいられて、それだけで俺は幸せだよ」
その気持ちも嘘ではない。
大切な日に、大切な人と一緒にいられる。
少し前まででは考えられなかったこの現実が。
「俺には最高のプレゼントだよ」
幸せそうな快斗の笑顔に、新一もようやく笑みを零した。
「…そうだな」
じゃあ今日はずっと二人だけで過ごそう。
誰にも邪魔されないように。
「ケーキ用意してあるんだろ?」
「あぁ。お前の好きなチョコのヤツな」
甘いものが苦手な新一が快斗の為に用意してくれたケーキと。
「あと、プレゼントも」
「あとで持ってくるよ」
快斗のことを想って選んだプレゼントと。
「…あと、まだ言ってもらってない」
「…?…あぁ、そうだったな」
快斗の大好きな笑顔で。
「誕生日、おめでとう」
ーー…最高の日を…
雨はずっと穏やかに降り続けた。
二人の時間を守るように…。
**
久しぶりに書いたので感覚が掴めず…。
でも間に合った!
誕生日おめでとー!!
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