会話のみのものや短いものを置いておく場所です。
CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
真っ赤な花に囲まれた一輪の白い花。
それを見た瞬間、スッと体中の血が引いたような気がした。
「新一」
足が止まった新一を不審に思ったのか、少し先を歩いていた快斗が振り返る。
「…なんでもない」
真っ赤に咲き誇る花に吸い寄せられた視線を無理やり剥がした。ただの花だ。珍しいわけではない。
「彼岸花?」
新一の視線の先にある花に気付いた快斗がそう呟く。
「そういえば、もうそんな時期か」
9月の中旬頃に咲き始める真っ赤な花。稀に白いのも咲く。
「…なに、炎のように見えた?」
「違う」
群をなして咲く様子は炎のように見えなくもない。しかし、新一の目には違うのもに見えた。
「血みたいだ」
「あぁ」
赤い彼岸花は血。白い彼岸花は彼のようだと思ったのだ。だから、真っ赤な花に囲まれた白い花は…
「俺はここにいるよ。血に染まってなんかないだろ?」
「…わかってる」
それでも、恐れているのだ。いつか、あの白い幻影が真っ赤な血で染まってしまわないか。赤に埋もれて消えてしまわないか…と。
「大丈夫だよ、新一」
いつの間にか目の前に立っていた快斗の腕がそっと新一を包み込んだ。
「俺には新一がいるからね」
暖かい。ちゃんと血が通っていて、人の温もりがある。当たり前の事なのに、何故か涙が出そうになる。
「なぁ、彼岸花の花言葉って知ってるか?」
「…悲しい思い出、だろ」
だからこそ、余計に辛くなるのだ。いつか、本当に『過去』の『悲しい』思い出になってしまいそうで。
「まぁ、それもあるけどね。他にもあるんだよ」
「そうなのか?」
「また会う日を楽しみに、とか…」
「…とか?」
不意に黙った快斗を不思議に思って聞き返すと、いきなり体を引き離された。
離れていく体温に寂しいと思う暇もなく、羽のようにふわりと温かい唇が新一のそれに触れる。
「想うはあなた一人」
一瞬何を言われたのか分からなくてぼんやりとしていた。
「…ってのもあるんだぜ?」
新一が何かを言う前に再び新一の唇に口付けた。
「好きだよ、新一」
お前だけを想ってる。
***
自分の誕生日記念。前日記で誕生花が彼岸花だという話を書いたので。
ハッピーバースデイ、私。
私の家の近くで白い彼岸花が咲くんですよ。それを思い出しつつ…
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