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会話のみのものや短いものを置いておく場所です。 CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
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例えば、一人でぼんやりと空を眺めている時。

吸い込まれそうな空の青にこのまま飲み込まれてしまえばいいのに、と思いながら目を閉じる。瞼の裏に現れるのはアイツの顔ばかり。

あぁ、くそっ…なんでアイツの顔ばかり浮かぶんだ。

悪態をついて目を開ければ再び青が俺を迎え入れる。

そういえば、何故俺は空を見上げているのだろう…?



例えば、友人たちと騒いでいる時。

一瞬だけ、自分だけが世界から切り離された存在のように感じる。馬鹿な話をして、笑っている友人たちがとても遠い存在のように見えて、羨ましくなる。

…アイツも、そう感じる事があるのだろうか。

自分と同じようにどこか特異な存在であるアイツも…こんな風に感じたりはしないのだろうか。

いや、だから何故俺はあいつの事ばかり考えているんだ。

軽く頭を振って、また友人たちの輪の中に入る。

それが、たとえ自分がいるべき場所ではなくても。



例えば、街の中を歩いている時。

楽しげに笑う中高生、忙しそうに早足で歩くサラリーマン、どこが暇そうにぼんやりとしている老人。そんな風景を目に入れながら自然と視線が彷徨う。何かを探しているかのように。

アイツの姿を探しているのだ、と気付いて慌ててやめる。

そして再び無意識に探し始める。

…アイツがこんなところにいる筈ないのに。

隣町に住むアイツの事を考えて、ちょっと後悔した。



例えば、何気ない日常の中で。

気づいたらアイツの事を考えている。気づいたら俺の中にアイツがいる。
侵略されるようで初めは不快だったが、いつの間にかそれが当たり前になっていた。

もし、この感情に名前を付けるのならば……なんというのだろう。

アイツに聞けばわかるのだろうか。何でも知っているアイツに。
いや、それだけは嫌だ。なんとなく、アイツに負けたような気分になるから。



もし、この感情に名前を付けるのならば、それは……――




「  」なのかもしれない。









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真っ赤な花に囲まれた一輪の白い花。

それを見た瞬間、スッと体中の血が引いたような気がした。

「新一」

足が止まった新一を不審に思ったのか、少し先を歩いていた快斗が振り返る。

「…なんでもない」

真っ赤に咲き誇る花に吸い寄せられた視線を無理やり剥がした。ただの花だ。珍しいわけではない。

「彼岸花?」

新一の視線の先にある花に気付いた快斗がそう呟く。

「そういえば、もうそんな時期か」

9月の中旬頃に咲き始める真っ赤な花。稀に白いのも咲く。

「…なに、炎のように見えた?」
「違う」

群をなして咲く様子は炎のように見えなくもない。しかし、新一の目には違うのもに見えた。

「血みたいだ」
「あぁ」

赤い彼岸花は血。白い彼岸花は彼のようだと思ったのだ。だから、真っ赤な花に囲まれた白い花は…

「俺はここにいるよ。血に染まってなんかないだろ?」
「…わかってる」

それでも、恐れているのだ。いつか、あの白い幻影が真っ赤な血で染まってしまわないか。赤に埋もれて消えてしまわないか…と。

「大丈夫だよ、新一」

いつの間にか目の前に立っていた快斗の腕がそっと新一を包み込んだ。

「俺には新一がいるからね」

暖かい。ちゃんと血が通っていて、人の温もりがある。当たり前の事なのに、何故か涙が出そうになる。

「なぁ、彼岸花の花言葉って知ってるか?」
「…悲しい思い出、だろ」

だからこそ、余計に辛くなるのだ。いつか、本当に『過去』の『悲しい』思い出になってしまいそうで。

「まぁ、それもあるけどね。他にもあるんだよ」
「そうなのか?」
「また会う日を楽しみに、とか…」
「…とか?」

不意に黙った快斗を不思議に思って聞き返すと、いきなり体を引き離された。
離れていく体温に寂しいと思う暇もなく、羽のようにふわりと温かい唇が新一のそれに触れる。

「想うはあなた一人」

一瞬何を言われたのか分からなくてぼんやりとしていた。

「…ってのもあるんだぜ?」

新一が何かを言う前に再び新一の唇に口付けた。

「好きだよ、新一」


お前だけを想ってる。




***

自分の誕生日記念。前日記で誕生花が彼岸花だという話を書いたので。
ハッピーバースデイ、私。

私の家の近くで白い彼岸花が咲くんですよ。それを思い出しつつ…






白い鳩は首を傾げながら言った。

『貴方は何が欲しいですか?』

何が?…俺には今欲しいものなんてない。

『なんでも差し上げますよ、難解な謎、スリルのある事件、貴方の望むものならなんでも』

…………。

『貴方が望むのならば、ヒトも殺してあげますよ』

…!それは、いらない。

『何故ですか?私がヒトを殺して、貴方がその謎を解くのです。私が考えたトリックは貴方でなければ解くことができない』

違う。俺はそんなもの望んでなんかいない。

『…では、貴方には何もいらない、と?』

初めからそう言ってるだろう。

『……困りましたね』

何が?

『では、貴方が私の望みを叶えてくれますか?』

……何が、望みなんだ?

『私の望みは……………―――』










『          』










「………んいち」

遠くの方で声が聞こえた。

「…新一?」

薄っすらと目を開けると、見覚えのある顔が心配そうに顔を覗き込んでいた。

「……と?」
「やっと起きたね。全然目を覚まさないから心配しちゃったよ」
「ん…悪い」

ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡した。ソファーの上で眠っていたらしい。窓の外は既に真っ暗だ。

「今、何時?」
「7時ちょっと過ぎ。夕飯食べる?」

ぼんやりと窓の外を眺めて、不意にさっきみた夢の事を思い出した。

「新一?」
「…変な夢を見たんだ」
「どんな?」

軽く首を傾げる快斗が夢に見た白い鳩と被った。

「白い、鳩が聞くんだ。欲しいものはないのか、って」
「それで、新一はなんて答えたの?」
「何もいらない、って。それで、鳩は…じゃあ自分の望みを俺が叶えてくれって」
「望み?」
「なんだったか忘れたけどな」

急にこんな夢の話を快斗にしたのが馬鹿馬鹿しく感じられた。
所詮は夢なんだ。

「なぁ、今日の夕飯何?」
「……」
「快斗?」

何も言わない快斗を不思議に思って振り返ると、ニッコリと笑った快斗が立っていた。
ただ、笑っているだけなのに…何故か背筋に冷たいものが走った。

「…かい…」
「その鳩はさ、こう言いたかったんじゃないかな?」

ゆっくりと快斗が近寄ってくる。
俺の足はまるで金縛りにあったかのように動かない。
鼻先が触れる距離になって、快斗が口を開いた。


「……貴方のすべてが欲しい」


聞きなれている筈の快斗の声はまるで悪魔の囁きのように低く、甘美なものに聞こえた。


「私の望み、叶えてくれますか?」






***


昨日の夜、夢で冒頭部分をみて、朝携帯にメモろう、としたら打ってる最中に携帯がフリーズ。年代物なんでいつかは来るだろう、とは思ってたけどタイミング悪ッ!と思いつつも電池パックを抜いてみたら直りました。
それにしても、夢が元だからよくわからないものに…;







近くのマックで少し早目の食事をするために俺達は昼前の閑散とした店内に入った。ちなみに、関西ではマクドというらしい。
それは、いいが。何故俺が黒羽と一緒にここにいるんだ。
「デート」と言っていた。……ま、黒羽のちょっとした冗談なんだろうな。それでも、俺の心臓の鼓動を早めるには十分だった。

「工藤ーおまたせー」

先に会計を済ませて、どこに座ろうか…と視線を彷徨わせていると後ろからやたら元気な声が聞こえた。
くるっと振り返ると同じように会計を済ませた黒羽が軽快な足取りで近寄ってきた。

「席取った?…って、工藤」
「いや、まだ…って、なんだよ?」
「それだけ?」
「は?」

訳が分からなくて黒羽の視線の先を辿ると俺が手にしているトレーに辿り着いた。
トレーの上にはハンバーガーが1つとコーヒー。…普通じゃないのか?
と、黒羽の方へ視線を向けて…唖然とした。
ハンバーガーが恐らく3つ。ポテト1つ。飲み物。デザートらしきもの。

「いや、黒羽が多いんだと思うぞ?」
「そうかぁ?」

それより工藤が少なすぎ!と騒ぐ黒羽をさらっと流して周りに視線をやった。
…どうにも席が空きすぎて困る。とりあえず、窓際とか?

「…工藤、こっち」

さっきまで一人騒いでいたのに俺の腕を掴んでさっさと歩きだした。向かったのは人目に付きにくい一番奥の席。…まぁ、混んできた時にはいいかもな。と思いながらも黒羽の反対側に座った。

「俺さ、一回工藤とゆっくり話してみたかったんだ」

嬉しそうに笑った黒羽の目にきょとん、とした俺の姿が映っている。

「工藤って、講義が終わったらすぐ帰っちまうだろ?」

まぁ、最近は特に忙しかったし…

「それに、すぐ別の誰かに工藤取られるし」

そう言った黒羽の目が一瞬だけ、別人のもののように見えた。冷たくて、思わず鳥肌の立つような…。
しかし、それも一瞬の事。すぐにいつもの笑みに戻っていた。まるで今見たのは幻だったかのように。

「だから、今日は捕まえれてラッキーだった」

と思わず見惚れるような笑みを浮かべた。
や、これで見惚れない人がいたら会ってみたい。だが……何かが俺の中で引っかかる。さっきの黒羽の目が気になるのか?

「…迷惑、だった?」

不安気に揺れる瞳に慌てて首を横に振った。

「俺、も…黒羽と話したかった…から…」

言ってしまってから恥ずかしくなった。何言ってんだ、俺は…。

「よかった」
「ッ…」

油断するとトマトのように真っ赤になりそうな顔を必死でポーカーフェイスで保ちつつ、何でもない不利をしてみた。…なんとなく、黒羽にはバレてる気はするけど。

……どうして、こんなことになったんだ?






「今日はありがとう」

もうお昼時だからか、店が混んできたのに気づいた俺らは席を立った。
黒羽はこれから3限があるらしい。俺はもう帰るだけだ。そもそも、1限だけ出てくるのって面倒なんだよな…まぁ、今日は黒羽と話せたからいいけど。

「また誘ってもいいか?」
「あ、あぁ」

やっぱり、黒羽と話すのは楽しい。
でも、いつこの心の内を悟られるのかと思うと冷や冷やするのだ。

「なぁ、そういえば…」
「ん?」

駅の方へ向って2人で歩きだした。
…あれ?学校に戻るのなら反対の道なのに。

「工藤って恋人いないんだよな?」
「あぁ、そうだけど?」

好き…だと思っていた幼馴染とは家族のような付き合いになっている。そういえば、この間彼氏が出来たと言っていた。
それに、俺は………

「じゃあさ」

突然足を止めた黒羽にグッと腕を掴まれた。

「え…?」

気づいたら黒羽の顔が驚くほど近くにあった。「似てる」と言われたことは何度かあるが、俺にはない男臭さのある綺麗な顔。……………いやいやい、ちょっと待て。近い?

「俺が狙ってもいい?」

思ったより低い声が耳元を掠め、思わずギュッと目を閉じてしまった。同時にふわり、と何か柔らかいものが頬に触れる。

「好きだよ、新一」

その言葉の意味を理解して、自分の目の前で不敵な笑みを浮かべている黒羽を見て………俺は一気に真っ赤になった。多分トマトを隣に並べても赤さなら劣らないと思う。

「え、あっ…?」
「これから全力で落とすから覚悟しておけよ?」

不敵な笑みの黒羽は誰かの姿を彷彿とさせる気もするが、誰の目から見てもかっこよくて、俺は何も言えなかった。
颯爽と去っていく後ろ姿を見送って、一人立ち尽くした。

「…嘘、だろ?」

擦れ違う人々が俺を見ていようが関係ない。確かにその時、俺の中の何かが音を立てて動き出した。





***

ってことで、1個前に書いたものの続きです。
目標としては「かっこいい快斗」です。達成できた…のか?新一さんが乙女っぽいです。
まぁ、「片思い」をテーマに書きつつも「片思い」じゃないんですけどね、これ。快斗sideを書いてもいいんですが、大体想像つくと思うので…。
つまり、快斗もばっちり新一の事始めから狙ってたんだぜーって話。初めに授業そっちのけで窓の外見ていた快斗は実は窓に映ってる新一を見ていたんだよー…っていう設定とか。どこかで書いたような気はしますけどね。その設定。
これから新一サンはもう落ちてるのに無駄に快斗に口説かれるんだと思います。それに毎度毎度動揺しつつも中々本心を言いだせない新一サン。分かりやすい反応してるのに何故か気付かない快斗クンは日々新一サンに近づく人を牽制していく。
そんな感じになるのでは。

ちなみに、初めの方にある「マ/ッ/ク」or「マ/ク/ド」。
私は「マ/ッ/ク」です。紛らわしかろうが「マ/ッ/ク」。今更変えるのも呼び辛いんですよね。あ、関西の方が「マ/ク/ド」でよかったですよね?






窓側の席、後ろから二列目。ぼんやりと外を眺めている姿に新一は誰にも気づかれないように溜息を吐いた。
これでは横顔も見れない。いや、見ている事がバレたら拙いから…結局これでいいのかもしれない。
視線を前に戻して、授業に集中しているふりをした。でも頭の中で考えているのは彼の事…黒羽快斗の事だけだった。

初めて姿を見た時、誰かに似ていると思った。自分ではない、誰か。
そこから興味が湧いたのかもしれない。いつの間にか視線はいつも彼を追っていた。
話したこともある。同じ学部にいて、いくつか授業が重なっているのだから当たり前と言えば当たり前だが…。まず、彼の知識の多さに驚いた。噂ではIQ400あるとか言っていたか、嘘みたいな数字でも彼がそうだと言われれば何故か納得しそうになってしまう。話術も心得ているのか、話していて楽しかった。
だが、それも数回、しかも僅かな時間だけの事だ。

…黒羽ともっと話がしたい。

でも、そうすれば悟られるかもしれない。…新一の心の内を。

好き、なのだ。…黒羽が。

そう気づいた時は焦った。彼は男で、俺も男なのに…。気づかれたら絶対に拒絶される。きっと目も合わせようとしてくれないに違いない。
だから、近づきたくても近づけない。

…どちらにせよ、警部からの頼みで事件に関わってばかりだからそんな機会もないのだけれど。

こうして遠くからでも見ていられるだけでいい。それだけで…――


「では、今日はこれで終わり」


告げられた終了の言葉に学生達はガタガタと椅子から立ち上がった。
新一も鞄にノートとか突っ込みながらぼんやりとこれからの予定を考えていた。

今日はこれでもう授業はないし、警部からの呼び出しも今のところない。昨日の事件は結果待ちだし…久しぶりに本屋に寄っていくか?新刊はないにしろ、何か面白そうなものがあるかもしれない…。

「…工藤」

いや、それよりも博士の所へ行って新しいメカの試作品を見せてもらうのもいいかもしれない。灰原も診断させろっつってたしな…。

「工藤…おーい、工藤?」
「…え?」

ふと顔を上げると、目の前に…

「く、黒羽?」

鼻がくっつきそうな距離に黒羽がいた。…なんで?

「やーっと気付いたか」

呆れたような、楽しそうな笑みを浮かべている。
気づけば数人…いや、クラス中の視線を集めていた。

…それは、黒羽がいるからだろうな。

入学早々に得意のマジックを披露した上、このルックスだ。あっという間に大学内…いや、付近の大学からも人気を集めている黒羽だ。実際、想いを寄せているのも一人や二人ではない。…そして俺も。

「工藤?なんかぼーっとしてる?」
「あ、悪い…で、何か用か?」

人の視線を集めているのも気分のいいものでもない。なるべく早く黒羽から離れたい…いや、離れたくないのかもしれない。

「えっ…あ、そうだよな…うーん…」
「?」

珍しく…と言ってもそんなに話したことがないけど、歯切れの悪い黒羽も珍しい。
話しかけたのはいいが、話すことが見つからない…そんな感じだ。…ま、黒羽に限ってそんなことはないか。

「そうだな…とりあえずさ、デートしない?」
「…………は?」






***


この間書いて、エラーですべて消えた話…をかなり改装したブツです。
これも一応片思い新一さんで。でも、お題のよりは明るめで。実際片思いしてる人はもっと切ない…って感じだろうなー…と思いつつも。この新一さんは片思いってより憧れに近いような?TVの向こうの芸能人に憧れるような感じかな。
まぁ、そんなこんなで…続きます。


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