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会話のみのものや短いものを置いておく場所です。 CPはほぼ快新。別CPの場合は注意書きがあります。
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トントンと小気味のよい音が響きわたる。

「かいとー?」

先ほどまで本の世界に没頭していた新一が顔を上げた。

「あぁ、本読み終わったの?」
「ん。何してんだ?」

今は丁度2時頃。夕飯を作るにしても早すぎる。

「あぁ、御節料理の下拵え」
「御節?」
「直前に作ったら忙しくてバタバタするだろ?だから先に作っておいて冷凍しとくんだよ」

そうしたら大晦日に新一とのんびり出来るだろ?
とにっこり笑われてしまったら新一は顔を赤くして俯くしかできない。

「俺も手伝う」
「へ?いいの?」
「だって、快斗ばっかにやらせるのも悪いし…」
「ありがとう」

本当に嬉しそうに笑う快斗に新一も思わず笑みが零れる。

「じゃあさ、こっち切ってくれる?」
「ん」

新一に先ほどまで快斗が使っていた包丁を渡すと自分はいそいそと何かを準備し始めた。

「快斗?」
「んー?あぁ、それできたらケーキ作ろうと思っててさ。新一がやってくれるなら俺はケーキ作ろうかなって思ってさ」
「ああ…」

快斗の作るケーキと聞いて新一はちょっと嬉しそうに笑った。
甘すぎるものが苦手な新一は快斗の作るケーキが一番気に入っているのだ。快斗ももちろん新一の好みを理解して作っているのだが。
鼻歌を歌いながら楽しそうにケーキを作り始めた快斗を見て新一も手際よく料理を始める。

「新一ってさぁ…料理上手いよね」
「お前の方が上手いだろ」
「……そんだけ出来るのにさ、なんでやらなかったの?」
「一人分って結構めんどくさいんだぞ」

まぁ、確かに。
と納得しかけるが、それだけの理由で平気で3食抜くのはどうかと思う。

「でも、たまには新一の料理食べたいなー」
「……・」
「ダメ?」
「…たまにならな」

新一の小さい答えに快斗は破顔した。

「新ちゃん可愛いーv」
「新ちゃん言うなっ」

顔を赤くさせた新一の頬にそっと口づけると快斗はニコニコと笑った。

「でもさ、こうしてると新婚さんって感じしない?」
「う…」

確かに2人そろってキッチンに立っていればそう見えるかもしれない。
そう思った新一は更に顔を赤くさせた。

「やっぱ可愛いー!」
「うるせー!」

それならお前が妻だろ!
と叫ぶ新一に快斗は笑みを濃くした。

「何言ってんのさ。夜は新一が奥さんでしょ?」

昨夜も可愛かったよなぁ…
とニヤニヤと笑う快斗の頭を顔を赤くしながら殴った。

「新ちゃん酷いー」
「お前がくだらないこと言うからだろ」
「だって本当のことじゃん」

ブツブツとまだ懲りもせず呟いている快斗を無視して新一はさっさと作業に戻った。

「っ…」
「新一?」

突然包丁の音が止まり、小さなうめき声に快斗は再び手を止めた。

「…んでもない」
「何でもないことはないだろ?見せてみな」

新一が庇っていた手を取ると指先が小さく切れていた。

「切ったの?」
「みたいだな」

人事のような新一に呆れながらも快斗はそのまま地が出ている指を口に含んだ。

「っ…何しやがるっ」
「や、恋人が怪我したらこーするのがお約束じゃない?」

と言いながらもまだ執拗に新一の指を舐めていた。

「っぅ…いい加減離せっ」
「仕方ないなー」

名残り惜しそうに離すと新一の顔はリンゴよりも赤くなっていた。

「あれ?新ちゃん顔真っ赤」
「るせっ!」

ザザッと指と包丁を洗い、絆創膏を取りに行った。

「…本当、可愛いなー…新一」

その様子を見送りながら快斗はニヤニヤと笑っていた。

新一が帰ってきたらまたからかってやろう…と思いながらも新一と一緒にキッチンに立っていて浮かれている自分に気付いて苦笑を零した。


「俺って心底新一に惚れてんだなー…」

今更だけど。
そう独り言ちながらもまだ赤い顔をしているだろう恋人のところへ足早に向かった。





**

玉ねぎを切ってる時にうっかり指を切りそうになって、その時に思いついたありがちなお話でした。
快斗が「可愛い」と連呼してるのは私の気持ちが入りすぎた所為だからかな…。


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